国民民主党福岡県連が、離党届を提出した地方議員2人に対し、4月の統一地方選の公認料などを返還するよう求めている。県連が公認の条件として全候補者に提出を求めた誓約書に基づく対応で、県連側は「党員として4年間邁進(まいしん)するという約束と違う」と正当性を主張。一方、議員側は「政治活動の自由を金で縛るのはおかしい。公認料は法的な返還義務もない」などとして返還には応じない構えで、真っ向から対立している。
党支持率が低迷している国民県連は、地方の勢力維持のため、統一選での公認料を旧民進党時代の約3倍に増額。県議で約300万円、市議で約100万円を配布したという。県連は公認に当たり、誓約書を作成。「4年間は党員として(中略)党の綱領に基づく政策の実現を目指した政治活動に邁進することを誓う」「誓約事項に反する行為を行った際には受領した公認料をはじめ、党公認候補として支援いただいた資金を全額返金する」などと記しており、2人を含むすべての公認候補が署名した。
3カ月後の参院選。国民県連は当初は立憲民主党の現職候補に一本化する方針だったが、党本部主導で6月に独自候補の擁立を決めた。すでに立民現職の支援で動いていた国民県議と市議の2人は反発し、県連に離党届を提出した。
国民県連は2人の離党届を受理せず、公認料などの全額返還を求める書面を8月22日付で送付。白石一裕幹事長は「誓約書は本人の判断で署名してもらった。金だけもらって辞めるのはいかがなものか」と、2人の処分を検討していることを明らかにした。
書面を受け取った2人は、弁護士を通じ「請求には応じない」と書面で回答。市議は「誓約書が離党防止に使われるとは思っていなかった。金でつなぎ留める手法では地方議員は育たない」と訴え、当面は無所属で活動するという。
公認料は政党から候補者への寄付に当たる。埼玉大の松本正生教授(政治学)は「高額な公認料を払って離党されては県連も立つ瀬がないだろうが、誓約書に効力があるかどうかは判断し難い。当事者同士で解決するしかない」としている。
西日本新聞社
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